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自治体DXを実現するための提言(官公庁4.0研究会& 第98回IT勉強宴会 合同シンポジウム)

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2024.09.28(土) 14:00から、新大阪の貸会議室&zoomで開催しました。案内はここ

情報システム学会(ISSJ)に創設された、官公庁4.0研究会との合同シンポジウムでした。参加者は現地は9名、オンラインは延べ58名。合同シンポジウムでしたので通常のIT勉強宴会とは異なる質問が多く出て勉強になりました。

17:00から近くの居酒屋で懇親会、3次会は前にも使ったバーで22時過ぎまで。その後有志は4次会に消えていきました。私は翌朝用事があったので珍しく失礼しました。

<資料>

     自治体システム標準化プロジェクトをデータモデル駆動で立て直す

自治体DXを実現するための提言

渡辺幸三(DBC代表)

1700ある全自治体について、自治体システムの標準化を2026年3月末までに完了することが至上命題としてい進んでいます。ところが、175自治体について間に合わないとギブアップ宣言されました。たった1割と思わ
れるかも知れませんが、人口比にすると50%以上ですまた数日前に、富士通が受注している約300自治体について納期に間に合わないとギブアップ
宣言を行ったとニュースになっていました。

何が問題でどうすれば良いと私が考えているかを解説します。

1.標準化プロジェクトの問題

(1)1700個問題が解消しない
(2)この標準では省力化になっていない
(3)この方式ではコストがかかりすぎる
(4)期限が間に合わない
(5)フィジビリティ確認が未検証のまま進んでいる
(6)DXの要素がない

2.立て直しにあたっての基本方針

(1)データモデルを抜本的に見直す
 →この標準仕様のデータモデル(もどき)に疑問を持たないことが不思議

・?は線を引けない  
 →関数従属性がわからず図を描いている

・主要マスタに「履歴番号」を持っている
 →前時代的な仕様

 →業務フローやUIの見直しを先行させるとデータモデルの抜本的見直しが出来ない
  それゆえにDXが起こらない。ピカピカの竪穴住居を作ることになる。
 ①「履歴内包方式」からの脱却・・・異動履歴外出し方式
 ②住民情報と戸籍の統合
 ③個人情報の保護と利用促進・・・APIにより誰がアクセスしたか透明化
 ④自治体独自施策の考慮・・・「福祉格」の活用
(2)国と自治体と地場ベンダーの役割を明確にする
(3)現時点の標準化作業を無駄にしない
(4)共通化は被災者支援の要と位置付ける
 →防災省をつくるのなら標準化が必要

3.新たな進め方

(1)パイロット自治体の選定・・・大/中/小の自治体を選定
(2)抜本的なデータモデルに基づくプロトタイプの構築
 既存仕様はあえて参照せず、「創造」する
 データ移行と試行を通じてデータモデルとプロトタイプをブラッシュアップする
 デジ庁が出した標準仕様とチェックし抜け漏れがないか確認する
(3)本番システムの開発と、パイロット自治体への導入
(4)他の自治体による自発的・段階的導入
 運用コスト削減効果を確認のうえ、自発的に導入する


 エストニアの事例を聞く機会がありました。産婦人科と協力して妊娠がわかり出産の意思があれば名無しの状態で国としての補助など管理が始まり、出生後国籍管理されます。
またシステムをGitHubで公開しています。

<質疑応答>

(Y氏)エストニアは人口が130万人と日本の1%。システムはデータ連携をボトムアップで作ったと聞いています。韓国は最初ボトムアップで作りだしましたが上手く行かず国から強制的にやって成功しました。日本はどちらを目指すのでしょう?
(I氏)以前はボトムアップで取り組もうとしていましたが、自治体がその気にならないので今は国がトップダウンで構築して実績を作って参加してもらう方式が良いと考えています。

(O氏)全国民の情報を一元管理するということもそうなのですが、(住基ネットで扱う基本4情報は秘匿性が高くない情報なので良しとされたという側面がありますが)、一人の個人に関する様々な情報(年金とか福祉とか税とか)を集約するというのもプライバシーリスクを生じさせることになるのでそれをどう考えるかというのも議論対象になるかと。
(I氏)住基ネット訴訟は2008年ですので今の技術から見ると古い可能性は高いです。ただ、日本には憲法裁判所がありませんので具体的な侵害がない限り訴訟が出来ずそれをひっくり返すには憲法改定が必要になります。そのため住基ネット判決ありきで考えるしかないと考えています。それにはDBを分割することが必要です。

<所感>

自治体標準仕様のデータモデルに関する疑問については、第95回IT勉強宴会で説明してもらいYouTube動画にまでしました。データモデルが読める技術者ならこのデジ庁が出したデータモデルがおかしいということは100%合意してもらえるはずです。ところがこのデータモデルをおかしいと思わない技術者が多い事にびっくりしています。55社のパッケージ開発ベンダーを集め「第一回共通機能等課題検討会」を開催しました。その議事録を見るとデータモデルに「問題なし」と回答しているベンダーが多数いました。

まずは「このデータモデルはおかしい」と言うITベンダーが多数にならないとこの話は進まないような気がしました。

以上

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