Quantcast
Channel: IT勉強宴会blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 87

IoTの「今」を知ろう<第63回IT勉強宴会in新大阪>

$
0
0
20180525(金) 19:00から開催しました。IoTというキーワードにこれだけ集客力があるとは失礼ながら知りませんでした。32人も集まってくださいました。申し込み案内はこちら

今回は初めての方が8名もおられたのでアイスブレークとして、この勉強会を何で知ったかを挙手してもらいました。主催者の私としては半分くらいが8年続けているメーリングリストだろうと思っていたのですが、メーリングリストは3人だけ。Facebookが2人とconnpassが10人でした。connpass恐るべしですね。昨年、2017/03/24の第54回IT勉強宴会まではATNDを使っていましたのでまだ一年です。リクルートさんのATNDも良いシステムでしたが、ここまでの広がりはありませんでした。2次会でたずねると、「Google検索で<IoT セミナー>で知りました」という方がいらっしゃいました。connpassはSEO対策もやってるのでしょうね。

あと、1名横浜から来てくれた方が「本当は会社の出張にするつもりで申請したのですが、募集期間が短かったことと『勉強宴会』という名称から却下されました。半日休暇とって自腹で泊まりで来ました」とおっしゃってました。申し訳ないので、名称については募集名だけ英語名にするなどメンバ内で考えてみます。ご意見あれば教えて下さい。

2次会は、16人でいつものとおり同じビル地下の蕎麦屋さん、3次会は7人で15分ほどぶらぶら歩いて西中島のガールズバー(笑)。このガールズバーは2000円でラフロイグ、ボーモアなど高級ウイスキーやブランデーが飲み放題なので、ガブガブ飲みながら男同士でわいわい騒ぐのにはうってつけなのです。お店的にも放置しておけばよいので良客じゃないかと思いますがどうでしょう。その後タクシーで帰宅しました。

<今回の勉強宴会資料>

IoTによる工場の見える化
IoT だけやってます:IoTビジネスの現実的な事例-成功と失敗-

<IoTによる工場の見える化 (その背景、コスト感、留意点)>

ナレッジ・ビー/IIoTコーディネーターの 高田富明さん

1.IoTってなに?何がうれしい?

(1) FAの流れ

工場は複数の機械を使って製品を仕上げます。機械と機械の制御は当初はリレースイッチなどを使ったメカニカルなものでした。

1970年~ PLC(programmable logic controller)のソフト(ラダー)が出てきました
 →これが俗に言う組み込み系、制御系のプログラミングです
1990年~ ライン全体を制御する仕組みが広がりました。FAやM2Mと言われます
 →残念ながらベンダー独自のネットワークです
  マシン→ヒト→マシンという制御から、ヒトをはずす動きです。
 →1工場内にとどまらず、企業間で制御しようとSCMをベンダーが主導権争い中です

(2) インターネットの台頭

これらFAの動きとは関係なくインターネットがすごい勢いで広がりました。当初はテキストだったものがマルチメディアになり、2007年のスマホの登場からさらに加速しました。ヒトとヒトとの約束事などもすべてインターネットに乗せようと決済などもインターネットで行うようになりました。

ところで、世界人口は約73億人です。ヒトとヒトとのつながりだけでは限界があります。そこでデバイスを接続することでさらに世界を広げようとしているのがIoTです。物流で品物を乗せるパレットだけでも150億個あるそうです。例えばそれの位置がリアルタイムにわかると出来ることが増えるはずです。

(3) 工場のIoT(IIoT:Industory Internet of Thing)

PLCは年間たかだか100万台しか出荷されていません。2015年で4000億円の市場だといわれています。FAの世界でも、「工場の有り様を数字で見たい」という要求は多くあります。ところが、インターネットの世界とは生産量が桁違いに少ないため値段が高止まりしているのが現状です。PLCだけで80万円程度します。IoTデバイスのUniPiなら5万円程度です。ガチガチの品質保証の世界であるFAの世界に、やってみないと動くかわからないインターネットの機器をどう使うべきかはまだ試行錯誤が開始したところですが、値段の力には勝てません。うまく使う必要がありますが、両方の世界を知っている技術者が少ないという課題もあります。ざっくりベースの費用感には次の差があります。
         機械制御(FA)   インターネット(IoT)
PC・メモリ    185万円     28万円   ・・・6.6分の1
ネットワーク      5万円/月    0.4万円/月 ・・・12.5分の1
アプリケーション   10万円/月    0.8万円/月 ・・・12.5分の1

FAと較べてざっくり1/10の費用でIoTが出来るようになったのです。

2.事例について、6象限のどこを狙っているかを示しながら説明します

(1) IoTらしさ全開パターン:武州工業

  スマホの万歩計機能を使って、押し出し機の稼動をみる。スマホを貼り付けるだけです。
これは有名すぎるのですが私自身も衝撃を受けましたので挙げざるを得ません。



(2) クラウドアプリパターン:「小ロット生産専用スケジューラ


10ユーザまで 2万円/月
ダウンロードしてすぐ使えるスマホアプリ感覚



(3) 3要素一体化パターン:「後付革命

ハードはRaspberry Pi、SORACOMのネットなら4台で初期費20万、月5万程度
 見える化し、機械の立ち上げ順を変えるだけで関電契約が下がった事例が有名



(4) 手作りデバイス、不足パーツ外部調達、外販パターン:精密プレス工業 資料


手作りカウンターを自作してポカヨケ(スポット溶接回数を数える)

原価計算機能を付与(外部調達)して外販に乗り出した

(5) 既存ベンダーのお色直しパターン:新しいアライアンス


ファナックVS三菱電機

主導導権争い中。最低月100万円~
何千万円もする機器を導入する「ついで」なら安いという費用感に思えます


3.まとめ - IoTを検討する時の留意点

(1) 高品質の組込み系と安価なインターネット系、両者の良いところどりする
(2) 最初は稼働だけを取り出しても、その後は非稼働も進捗も・・となる
 →小さく始めるときにロードマップも書きましょう

 FAもIoTも知っている技術者に困ったときはお声をおかけください。

<IoT だけやってます:IoTビジネスの現実的な事例-成功と失敗->

エコモット株式会社 近田亮さん

エコモットは2007年に創業以来IoTだけやってます。というかIoTという言葉もありませんでした。IoTとは何かというのは皆さんご存じでしょうから、事業化という面にフォーカスしてお話します。

1.エコモットが提供するサービス

IoTを実現する要素として次の5種類が必要です。
それぞれを得意とする会社は多くありますが、エコモットはこれらのレイヤーについて横断的にかかわり、「IoTインテグレーション事業」としてやってきたことに特徴があります。

(1) YR<ゆりもっと> 融雪システム遠隔監視

札幌は100万人以上の人口と500cm以上の降雪がある世界唯一の都市です。降雪に対応するために様々な工夫を行っています。駐車場の「ロードヒーティング」という仕組みは、降雪系で雪を感知するとボイラーに信号を伝えて地面を温めます。ところが、降雪センサーは雨でも反応したりして灯油の無駄遣いが多くありました。

そこで、駐車場をカメラで監視して、遠隔で人が確認してボイラーのスイッチを入れる仕組みを提供しました。それにより灯油やガス、電気などのコストが30%以上削減出来ました。すでに1300件以上導入されています。

(2) GR<現場ろいど>

YRは冬しか仕事がありませんので(笑)、年中使えるサービスとして工事現場の監視サービスをパッケージ化してレンタルで提供しました。工事現場には電源もありませんので太陽光発電やバッテリーで稼働させます。累計で6,000現場に導入されました。

(3) Pd<Pdrive>

交通事故を削減する事を目的としたIoTソリューションを提供しています。無線回線のついたドライブレコーダーを社用車につけます。GPSで場所を把握するとともに、急ブレーキなど加速度センサーが反応すると即座にメールが飛びます。現時点で6000回線を管理しています。

エコモットの社用車にもついています。急ブレーキを踏むと全社員にメールされます。そのために事故の危険性は減っていると思います。

(4) FASTIO

これらの構成要素を串刺ししたプラットフォームFASTIO(=Fast + Io X)を提供しています。センサーもゲートウェイデバイスも実案件を通して多数検証を行いノウハウを溜めて提供出来るように準備しています。クラウドベースのアプリもありますので監視だけならそれで充分ですし、セールスフォースなど他のアプリへつなげるためのAPIも整備しました。

2.IoTソリューション事例集

(1) 工事現場で人が常時監視することが難しい現場に暗視カメラ設置
 →現場には電源はありませんから太陽発電+バッテリーが普通です
(2) 家畜飼料保存タンクの残量を流量計で計測
 →真ん中だけ減ることがあるらしく、これだけで経費削減できるそうです
(3) 水処理関連の制御PLCの情報をクラウドに保管
 →FA系の機器とも接続出来ますので情報を集めるのは簡単です

3.自社サービスが事業化に成功した理由

(1) YRは遠隔監視の代行業務が受けた。

→当初お客様自身がボイラーのスイッチを入れる仕組みの時は広がらなかった

(2) GRは設置作業まで行う姿勢が受けた

→支笏湖の災害復旧現場にカメラ設置。熊予防に鉄砲まで持って行った
  これがきっかけで災害など様々な困難な現場の依頼があった

(3) IoT×AIによる新たな価値の創造

→今までの肉弾戦から新しい価値の創造を行っています

4.LPWA

現場に一番重要なのは電源と通信です。少ない消費電力で通信出来る無線技術<LPWA:Law Power Wide Aria>が広がりつつあります。

セルラーLPWA:KDDI社が世界初のセルラーLPWAモジュール「KYW01」発売
ノンセルラーLPWA:SIGFOXを、京セラコミュニケーションシステムさんと提携

用途に応じてどちらも扱えますが、今はセルラーLPWAが使いやすいように思います

かに道楽の上の看板がぐらぐらして危ないので監視したいという話がありました。電源も回線もないため今までは対応が難しかったのですが、LPS-200というKYW01搭載のハードが出ます。マグネットで取り付けるだけです。加速度センサーや温湿度センサーをトリガーに通信出来ます。通信先もSNSなどでも大丈夫です。

5.最後に「IoTビジネスについて」

IoTは手段です。IoTを活用して既存のビジネスがどうよくなるかを考えて伸ばしてきました。「IoTだけやってます」というよりは、「IoTを使ってやってます!」という会社です。さまざまな経験を持っていますので何かお困りごとがあればお声がけをお願いします。

<所感>

エコモットさんはセールスフォース社のイベントで社長さんのお話を伺って印象に強く残っていました。いま私が所属するテラスカイとは、資本提携した「仲間」ですので何度か仕事しました。今回は「完全にプライベート」とお話して登壇いただき感謝しています。話も面白いですがリアリティがすごいと改めて思いました。最後に話されたLPS-200は今年7月発売だそうです。アイデアだけで相当な広がりが出てきそうです。

高田さんは大手上場企業で工場のIoTをされていた、根っからの技術者です。今は独立されてコンサルタントとして活躍されています。今回の話もそうですが、毎回独自の視点で語ってくださるのでハッとすることが多いです。FAとIoTの6象限で事例を把握するという視点は大変面白いと思いました。

昨年の3月にディープラーニングの勉強会を実施しました。たった1年でこんなに「普通」の技術になるとは想像していませんでした。来年のいまごろ、IoTもそうなっているのかも知れません。

以上

Viewing all articles
Browse latest Browse all 87

Trending Articles